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困難な時代の中で、やわらかく温かい希望の光を内側に灯す新月

本日、おとめ座の新月を迎えました。
9月になってスイッチが切り替わったように急に秋らしくなってきましたね。涼しくなって体が楽になったけれど、夏の疲れも出やすい時期かもしれません。夏を乗り切った自分の体と心をいつも以上に優しくいたわりたいものです。

そんな今月はホッと優しい気持ちになれる本のご紹介です。

『キスの練習をしています また会える日のために』(工藤あゆみ著/・青幻舎刊・1,980)

工藤あゆみさんは、イタリアの美術大学を卒業し、ボローニャ国際絵本原画展に入賞するなど、ヨーロッパを拠点に活動をするイタリア在住のアーティストです。本作は、2020310日、イタリア全土に”IO RESTO A CASA(私は家にいる)政策が施行されたその日からはじまり、ロックダウン下での心情の変化を言葉と絵で綴った日記のような一冊。



今日も誰にも会わなかった。だけど誰かの気配を感じていた。
 (29Pより引用)


たくさんの人がインターネットの海を泳ぐ。
ある人は深く深く徹底的に潜る。
ある人は波に従って進み(世間の動向に従い)
ある人は波にもてあそばれる。
息継ぎを忘れないで。空や太陽や風を忘れないで。傍らの声に耳を傾けることを忘れないでね。
 (52Pより引用)

 

まだ新型ウイルスの正体も判然としない頃、多くの感染者・死者を出したイタリアで暮らしていた工藤さんは、先の見えない不安を抱えながらも、その不安もさみしさも希望もあらゆる感情をありのまま描き、その心の揺らぎが伝わってきます。それは、あのとき誰の内側にも抱えていたもの(もちろん今でも)

 

不安、楽観、心細さ、鼓舞…
君が感じるあらゆる感情を打ち消す必要はない。
 (24Pより引用)

 

そういった感情も抱きしめながら、希望の光を灯すような言葉と温かく優しい色使い、ホッとするような愛くるしいキャラクター。



前作の『はかれないものをはかる』もそうでしたが、工藤さんの作品はとても優しく、読むとからだとこころがゆるむと同時に、自分自身と対話させてくれるような気持ちが自然と湧いてきます。
それはきっと、工藤さんの純粋な人柄がそのまま表現されているから。作品をとおして伝わってくる温かなエネルギーがこの世界中に循環していったらどんなにいいだろう。

先の見えない状況の中で無意識に体が緊張していたり、呼吸が浅くなっていたり、ストレスが溜まっていたり、はたまた楽しいこともあれば、嬉しいこともある―
そんな自分の今の状態をまずは気づいてあげること。
悲しいときは悲しい。嬉しいときは嬉しい。
工藤さんの本を読んでいると、そんな嘘偽りのない自分の本心が浮かび上がってくるようです。
まさに心を整え、前向きな気持ちにしてくれる一冊。

いつでも、自分のこころの距離がはかれるように。
そっと寄り添い、ほっとゆるませてくれる素敵な作品集です。
大切な人への贈り物にもぴったりですよ。

ぜひお手にとって、言葉と絵を味わってみてください。

 

【west mountain booksプロフィール】
「私やあなたが本来の自分に戻るための知恵やヒント、きっかけ」となるような、からだやこころ、自然にまつわる本をセレクトしています。
2020年まで7年間下北沢・本屋B&Bの書店スタッフとして勤務し、くらし・からだ・旅・食・日本文化にまつわる棚やイベント企画を担当。並行して2020年より個人の屋号としてwest mountain booksをスタートし、現在は長野県上田市を拠点にオンラインショップ、イベント出店をメインに活動しています。

2021年初冬に「面影 book&craft」という実店舗をオープン予定。情報はインスタグラムをメインに発信中。

Instagram @westmountainbooks
オンラインショップ https://westmountainbooks.stores.jp/



※今回ご紹介した『キスの練習をしています また会える日のために』は、現在オンラインショップでも販売中です。

 
Photo by kensuke iwai