変化の訪れる時期を前に、自分を癒やす新月

2021.03.13

 

本日、うお座の新月を迎えました。
今月は新月と週末が重なるので、お休みの方も多いのでは。

暖かくなり、アクティブに動きたくなる頃ですが、季節の変わり目で体がちょっとお疲れ…な方は、自分へ労りの気持ちを向けるゆとりをもって、家でのんびりデトックスデイ、なんて週末もいいかもしれませんね。
心をこめて作られた美味しいお野菜や果物のジュースでクレンズをするなんて、それだけで自分へのご褒美!
春の体に向けて、心と体に余白をつくりたいものです。


今月は、「癒やし」をテーマに、小説を一冊ご紹介します。

今、どこか停滞しているような状況だったり、「これはなんの修行かしら?」なんてつらい出来事が起こっていたとしたら…。
それは、成長のための道のりだった、とあとあと振り返って気づけるときがくる。
どれもポジティブな変化の兆しだから、しんどくても、今はただ自分を見つめて、時が来るのを待って、流れに身を委ねてみたら、きっと先がひらかれる。
そんな希望と癒やしを与えてくれるような小説です。

作家・吉本ばななさんの短編集『とかげ』(新潮社刊・506円税込)
著名な小説なので、すでに読んだことがある方も多いかもしれません。(でも、何度読み返しても新しい気づきや発見があるのです!)

表題作の『とかげ』と『新婚さん』『らせん』『キムチの夢』『血と水』『大川端奇譚』の6篇からなり、私は心身が弱っていたころに読み、心の中にぽっと希望の光が灯ったような、前向きな気持ちを与えてもらえた、とても大事な本です。
短編のうえに読みやすいため、どんなに疲れたときでも、弱っているときでも、本を開けば自然と物語の世界へ、そして自分の感受性の世界へと潜っていくことができるところもおすすめです。


「ここに出てくる人々は、すべて一般には希望と呼ばれる変化の一歩手前にいて、突然何かに気づいてしまって忘れていた感覚がよみがえってきたり、今までの状態にはなかったある種の行動力を必要とされたりする時期にいます。」

 —あとがき(168P)より引用


と書かれているように、6篇はどれも、登場人物がある出会いや出来事を通して、「自分の中の世界」が変わる瞬間を迎える過程にいます。
その過程には、急展開のきっかけとなるようなキーパーソンの出現や夢による予兆があったり、シンクロといえる出来事が起こったり。
そしてこれらは物語の世界と感じるかもしれないけれど、本当は誰しもの日常の中でもこうした変化の予兆は起こりうることである、ということに私たちは気づかされるのです。
私自身にも、ふっとこれまでと全く違った考え方や視点に切り替わった瞬間の体験がありました。

たとえば、今まで一緒にいた人と会うことがなぜか急にしんどくなったり、ふと新しいことを始めてみようと思い立ったり…、普段と違う何かが起こるときは、あとあと考えたらサインだった、なんてことがあるかもしれません。

私たちは、自分のもとにやってくる変化の前兆にどれくらい気づけているでしょうか。

自分の状況、体調や湧き上がる感情は一日として同じことはありません。
その微細な変化を、肯定のまなざしで日々見つめる意識を向けることができたら、この小説のような、癒やしや変化の瞬間がふと訪れてくるかもしれません。

ちょっと今心が弱っているな、気持ちを切り替えたいな、というときに。
本書を読んで、癒やしの瞬間を味わってみませんか。
心がひらいて、「自分の中の世界」が自然と立ち上がってくると思います。


【west mountain booksプロフィール】
「私やあなたが本来の自分に戻るための知恵やヒント、きっかけ」となるような、からだやこころ、自然にまつわる本をセレクトしています。
2020年まで7年間下北沢・本屋B&Bの書店スタッフとして勤務し、くらし・からだ・旅・食・日本文化にまつわる棚やイベント企画を担当。並行して2020年より個人の屋号としてwest mountain booksをスタートし、現在は店舗をもたずオンラインショップ、イベント出店をメインに活動しています。情報はインスタグラムをメインに発信中。

Instagram @westmountainbooks
オンラインショップ https://westmountainbooks.stores.jp/

Photo by kensuke iwai

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