Why ひとびと ?

月の満ち欠けや、自然の循環を大切に

Why ひとびと ? あめとひかり ぶどう ぶどうマーケット 山梨県

2023.10.12

PROFILE

雨宮 陽一

あめとひかり

Why Juice? でかねてよりお付き合いのあるマル神農園で農業を始め、独立。山梨県甲州市に「あめとひかり」をスタートし、12年に渡りぶどうを手がける。化学肥料や農薬を極力使用せず、月の満ち欠けや自然の循環を大切に、独自の農法で葡萄と向き合っている。

雨宮陽一さんのこと

農家になった経緯はWhy Juice? さんもお付き合いしている、マル神農園さんの古屋さんと遊んでいるときに、「なんか面白いことしたいよね、じゃあ農業やろうか!!」とはじまりました。
「お店やりたいね、なんていって空き家を自分たちで改装してつくって。でも農作業が忙しくて店なんてできなくて、俺がそこに住んでいました。」
5,6年ほどはそこで農家をやっていて葛藤もあったそうです。地元はくだものの生産も有名だしくだものをやるのも良いかもな。と考えていたときに、ちょうど近所のご高齢のぶどう農家さんがもうやらないということで譲ってくださることになり、そこから独立という形でぶどうの栽培が始まりました。

「ぶどうは野菜と全然違うし、出荷先の当てもない。近所のぶどう農家の皆さんの所に聞きに行って勉強しました。野菜は3〜6ヶ月サイクルですが、果樹は長い年月付き合っていくものですから、違う性質や楽しみがありますね。」




 

「ぶどうは老木の方が安定しているんですよね」

引き継いだ畑の中には20〜30年くらいのおじいちゃんたちの木もいます。「人間もそうですけど、歳を重ねて色々経験しているほうがうまく実をならせるんですよね。なんでかわからないけど美味しいんです。」
人間と同じで、甘やかしすぎも病気になってしまうから、ある程度は自分の力で頑張ってもらっています。

「よく見て、向き合う。あとはタイミング。天気がいい日は虫が増えるとか、雨が多いと病気が増えるとかあるんですよね。満月の日に虫って卵を産むので、その3日前にタイミングを合わせて薬を撒くことによって、頻度を最低限にする。晴れの日は病気の薬を抜こうかな、とかね。」
太陽や月、惑星のなどの宇宙の動きに合わせたバイオダイナミック農法などを勉強して、取り入れている雨宮さん。「そういうのを調べて勉強するのが楽しくて好きなんです。」

 

 

ぶどうの栽培は、5月に花が咲き始める頃から忙しくなります。6月ごろから実がなってきて、15−16センチに花を整えます。

つくっているのは巨峰、藤稔、ピオーネ、シャインマスカット、甲州。最初は出荷先のツテが何もなかったので、おしゃれそうだなって思うレストランにご飯を食べに行って営業していたそうです。人となりを見てどんなぶどうや野菜がいるかコミュニケーションを取りながら少しずつ増やしていきました。
今では卸がメインで、飲食店グローサリーストア、それからふるさと納税に向けても出荷しています。



 

収穫を終えて10月から4月ごろまでは、畑に肥料を入れたり木の剪定をしたりと、前の年の反省点を活かしながら次のシーズンに向けた準備をしています。畑もやりながら、たまに大工仕事や植物屋のお世話をする仕事もしています。

 

 

これからのこと

農業は、共存共生の仕事だと思っています。暑くなったから、寒くなったからといって施設栽培にして電気を使って管理するというのはちがうと思っていて。
毎年毎年違う環境の中自然と一緒にできる限りのことをやっていく。人間にできることは、芽が出て、花が咲いて、実がなるまでに10〜20%くらいしかないと思います。太陽の光があって、風が吹いて、虫がいて、他の植物が育って、その中でおいしいぶどうが育っていく手助けをしている。
今、畑には樹齢30年以上のぶどうの木があって、おそらく収穫できるのはあと5年くらいかもしれません。この地で育ってきたぶどうの木なので接木をして次の世代の木へDNAを残していきたいですね。そうやって自然の中での循環を意識して農業していきたいです。

 

おわりに


Why Juice?と雨宮さんの繋がりは長く、マル神農園さんの時からのお付き合い。マル神農園さんは山が近く、獣害が多い地域で、代表の小池が農園に伺った際に、鹿の被害に遭った畑で被害の拡大を防ぐためキャンプをして泊まったことがありました。その時に「畑で収穫したものを食べてキャンプして、排出したものが肥料になって循環するね」という話で盛り上がり、後にWhy Juice?が実施する農園キャンプの原点ともなるイベントも開催しました。
最後に雨宮さんへWhy Juice?との取り組みについて伺いました。「今では循環の関係性ができていると感じています。商品として出荷できないぶどうを粒の状態で出荷してもらって、新しい価値のある商品に作り替えてもらっている。成果だけではない商品を消費者に届けることによって可能性を感じていますね。ジュースだけではなく、パイやアイスクリームなど、今後の展開がさらに楽しみです。」

 

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